竹中平蔵経済財政担当相は24日、大阪市内で会見し、経済財政諮問会議が検討を進め
る税制の抜本改革について、税制の3原則「公平、中立、簡素」を「公平、活力、簡素」に見
直す考えを明らかにした。税制改革によって経済活性化を目指す狙いで、竹中氏は所得税
率の累進度合いを緩くする「フラット化」の意向も示した。諮問会議は29日、改革のたたき
台として公表する「論点整理」で、こうした考え方を明記する方針だ。
「経済活動の選択をゆがめない」という意味の「中立」について、竹中氏は「最近は現状を
変えないという意味で用いられている」と既得権保持に利用されているとの認識を示した。
また、累進税率の「フラット化」のほか、課税対象を拡大することでより多くの人が少しずつ
負担する「広く、薄い課税」も挙げたが、低所得者層が事実上増税となる可能性が高く、論
議を呼びそうだ。
諮問会議は「公平」の解釈も、「結果の平等」より「機会の平等」の重視に変え、再挑戦可
能な社会の構築を進める。 【白戸秀和】
◎租税の3原則◎
望ましい税制を考える上での基本理念。税負担の「公平」性、個人や企業の経済活動を
できる限りゆがめないという「中立」性、制度の「簡素」さの三つを指す。公平原則には、負
担能力が等しい人には等しい負担を求める「水平的公平」と、負担能力が大きい人にはより
大きな負担をしてもらう「垂直的公平」がある。