大手銀行13行の2002年3月期の不良債権処理に伴う損失額が、昨年11月に見込んだ6兆4470億円から最大1兆2000億円程度拡大し、約7兆6000億円まで膨らむ見通しとなった。
大手行の大半は、9月中間決算発表の際に処理損の見通しを大幅に増やしたが金融庁の特別検査に伴って不良債権処理の追加を迫られた。ゼネコン、スーパーなどで大型の支援、整理が続いているほか、デフレ不況が長引いて貸出先企業の業況悪化が予想以上に進んでいる。決算期末に向けて、各行は損失額の算定を急いでおり、処理損がさらに拡大する可能性もある。損失は剰余金などで穴埋めし、各行とも、公的資金注入で国が引き受けた優先株への配当は継続する方針だ。
三井住友銀行は、処理損が当初見込みの1兆円から、1兆5000億―6000億円に増える見通しだ。大手スーパー、ダイエーや、準大手ゼネコン、フジタなどの主要取引先に対して、債権放棄を伴う金融支援を行うことから負担が拡大した。2002年3月期の連結税引き後利益も、1500億円の赤字予想から下方修正する方向だ。
東京三菱銀行などを傘下に持つ三菱東京フィナンシャル・グループも、計画より1200億円以上多い6000億―6200億円に上積みする方向で検討している。ただ、東京三菱銀行の連結税引き後利益は黒字を確保できる見込みという。
今年度に2兆円の不良債権処理損を予定しているみずほホールディングス(第一勧業、富士、日本興業の三銀行)と、5700億円を見込んでいた大和銀ホールディングス(大和、あさひの2銀行)も、それぞれ1000―2000億円上積みする方向だ。
(3月23日03:04)