【ブリュッセル=刀祢館久雄】欧州連合(EU)は米国が鉄鋼製品に対する緊急輸入制限(セーフガード)を発動したことに対抗し、22日にも同製品へのセーフガード発動を発表する。米市場から締め出された第三国の鉄鋼製品がEU市場に流入するのを防ぐねらい。米に続き欧州も輸入制限に踏み切ればアジアの鉄鋼業界に一段と影響が及ぶとみられる。
EUが対象とするのは米国のセーフガードの影響でEU市場に回る鉄鋼製品で、今後6カ月間にわたり関税を上乗せする。上乗せ税率は米国が20日に発動した最高税率(30%)を超えない範囲にする見通し。
EUは米国を世界貿易機関(WTO)に提訴するとともに、欧州の鉄鋼業界が受ける被害への代償を要求している。さらに自らもセーフガードを発動することでEU域内への影響を最小限にとどめたい考え。米欧の相次ぐ保護主義的措置は、WTO主導の自由貿易体制に打撃となりそうだ。