大手銀行12行全行が、02年3月期決算で、連結最終赤字に転落する見通しとなった。関係筋が21日明らかにした。大手行は当初、6兆4450億円の不良債権処理を計画していたが、大口の問題先企業への引き当て強化を求める金融庁の特別検査などに対応し、1兆円強積み増す方針。全行の赤字総額は2兆5000億円を上回るとみられる。全行が最終赤字になれば過去に例がなく、最悪の事態になる。
各行が9月中間決算を発表した昨年11月時点では、東京三菱、三菱信託、住友信託銀行の3行が最終黒字を確保する予定だった。東京三菱は、不良債権処理額を4800億円から6000億円超に増やす方針で、最終損益も赤字となる方向だ。住友信託、三菱信託も不良債権処理額を積み増し、赤字決算とする検討に入った。
みずほグループの3行、UFJの2行、三井住友銀行、あさひ、大和、中央三井信託はすでに通期の最終赤字を予想。みずほや三井住友などは不良債権処理の増額を検討しており、三井住友の予想最終赤字(1500億円)はさらに拡大しそうだ。
01年3月期は、大手13行(三和銀・東海銀=現UFJ銀、住友銀・さくら銀=現三井住友=は合併前)中、赤字は6行だった。02年3月期は、リストラ強化などで本業のもうけである業務純益は過去最高水準の4兆円弱と見込まれるが、ゼネコンや流通など過剰債務企業や、新規発生する不良債権の処理で、利益をすべてはきだす格好になる。
UFJ、三井住友、あさひ銀などは、蓄積してきた資本準備金を取り崩す。株式相場は回復の兆しが見られるものの、来期以降も不良債権の処理が高水準に上れば、配当原資の枯渇や自己資本の減少など銀行にとって厳しい状況になりそうだ。 【藤好陽太郎】
[毎日新聞3月22日] ( 2002-03-22-03:01 )