米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者は、日本の政府当局者による外国為替相場に対するコメントを円安誘導と受け止めていた--。FRBが21日に公表した1月29-30日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録で明らかになった。
FOMCでは、金融政策策定への議論のたたき台とするため、まずFRB調査局スタッフが経済動向や金融政策の選択肢について報告するが、その中で、円安問題が取り上げられた。議事録によると、調査局スタッフはドルの主要通貨に対する加重平均指数が1980年代半ば以来の最高水準に達したことを指摘、「円安がその重要な要因になっている」との認識を示した。
FRB調査局スタッフはその上で、円安について、「市場参加者が日本の継続的な経済問題、円安容認のシグナルとみられる日本の当局者のコメントに注目することに原因がある」と分析した。
黒田東彦財務官は昨年12月10日、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)からみて円高過ぎた相場がいま修正されているだけだ」と述べ、一段の円高是正を促す姿勢を示していた。 ことし1月に入り1ドル=135円に向けて円安が進行する過程で、米製造業者が対日批判を展開するに至り、日本政府当局者は円安誘導からの方向転換に乗り出した。黒田財務官は1月17日、一部記者団に対して、「意図的に円安誘導していない」と、円安政策をとっているとの見方を否定した。
しかし、FRBの調査局スタッフは1月末にFOMCに提出した報告で、日本経済の悪化とともに「円安を受け入れる意向を示すとみられる日本政府当局者の発言」により、円安が進行したと指摘。黒田財務官ら日本政府当局者による円安容認否定の発言を額面通りには受け止めていないことが明らかになった。