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3月に入ってからの急激な株価反騰で「3月危機は回避された」―こうした情勢判断から、3月中に予定していた政府の追加デフレ対策は見送られることになった。19〜20日に開かれた日銀の金融政策決定会合でも、政策は「変更なし」の結論に落ち着いた。「のど元過ぎれば、熱さを忘れる」典型的な対応で、市場関係者の間からは「次に待ち構えているのは4月危機」（中堅投信運用担当者）との声が早くも挙がっている。
だが、仮にそうなっても、しっかりマークできる銘柄は必ずある。4月からの新年度入り相場を前に、大手証券や銀行系証券が“上客”の機関投資家を対象にまとめたリポートに、そうした角度からの有望銘柄がリストアップされている。
●次のデフレ対策の目玉
「台風の中でジェットコースターに乗っているようなもの。弱い企業はどんどん振るい落とされていく」。大手銀行系証券のチーフ・ストラテジストが最近、まとめたリポートで、こう描く日本経済の厳しい状況は、なお続きそうだ。気を緩めたら、株安で振るい落とされかねない株式相場は、その集中的表現ともいえるだろう。
大手証券・投資情報部のアナリストは、今回、政府が追加のデフレ対策を見送ったことについて「遠からず株式市場が政策を催促するはず」と指摘する。
むろん、この場合の「催促」とは、株価下落を伴ったアピールだ。その結果、おそらく浮上してくると予想される「次の政策」の目玉は、新・需要促進策と規制緩和策である。「昨年12月の産業構造審議会の報告書と総合規制改革の第1次答申が、そのたたき台になる」と大手証券の内部資料には記載されている。
●リユース・リペア、ロボット産業に照準
総論的な話はさておき、では「次の政策」に関する具体的なテーマと銘柄は何か。
産業構造審議会が示した成長性のある産業のうち、とくに市場規模が2010年にかけて大きく拡大するとみられているのが、リユース・リペア産業だ。これは、自動車部品、パソコンなどの再利用、補修に絡むマーケットで、現在の6兆3200億円が2010年には10兆4400億円に膨らむという。同和鉱業<5714>、三菱マテリアル<5711>、アサヒプリテック<5855>、松田産業<7456>、ダイセキ<9793>、オートバックス<9832>が関連銘柄。
さらに、ロボットも注目産業のひとつ。医療福祉や家庭生活にも需要が広がるとみた同審議会では、2010年に8兆円まで市場規模が拡大すると観測。現状はわずか5000億円だから、「変化率」という点ではピカ一の産業だ。ロボット関連としてファナック<6954>、安川電<6506>は知名度が高いが、オムロン<6645>、川田工業<5931>も見逃せない。
●医療関連株もマーク
また、高齢化社会の進展で医療機器・医療サービス産業も高成長が見込まれている（現状が1.3兆円。2010年には4.5兆円）。帝人<3401>、フクダ電子<6960>、島津<7701>、日本コーリン<6872>、セコム<9735>、日機装<6376>、メデカジャパン<9707>などが注目株だ。
一方、ある銀行系証券は、「全体の反騰相場第1波が完了したあとの4月相場では再び“勝ち組”銘柄に絞られる」として、高収益銘柄をノミネートしている。ソニー<6758>、キヤノン<7751>、トヨタ<7203>といったお馴染みの優良株のほかに、油脂最大手の不二製油<2607>、電子回路メーカーのイビデン<4062>、さらにはエーザイ<4523>、ブラザー<6448>、日本特殊陶業<5334>、伊勢丹<8238>も含まれている。
このうちエーザイは2月末に新たな中期経営計画を発表し、薬品業界でも話題となった。その目標値は2006年度に連結ベースで売上高5500億円（今3月期予想4250億円）、営業利益1000億円（同720億円）、当期利益600億円（同360億円）、1株利益200円（同121円80銭）、そしてROE（株主資本利益率）は13.0％（同10.0％）、というもの。
これらの銘柄は、4月以降、機関投資家の俎上（そじょう）に上る可能性が高い。今から、先取り感覚でマークしておきたい。
（楠 英司）
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。