「民間は古い経営者がゴロゴロしている。構造改革をやらないし、新規事業に積極的に取り組もうという気配が薄い」。塩川正十郎財務相は19日の参院財政金融委員会で、構造改革と景気回復のカギは「古い経営者の一掃」との持論を展開した。財務相は最近、税制や財政、金融でも財務相の立場を超えた発言が目立ち、関係者から「言いたい放題」という声も漏れている。
「古い経営者」発言は、峰崎直樹委員(民主)の質問への答弁。「だんだん古い経営者が退き、新しい経営者が去年あたりから合併、(企業)分割、提携をどんどんやっている。これが構造改革。今年から思い切り活力が出てくると期待している」と景気回復に期待感を表明。さらに「合併も提携もできない会社は意味がない。こいつは引退してもらうしかしようがない」とボルテージは上がる一方だった。
財務相はさらに、無所属だが、参院会派で連立与党の公明に属する浜田卓二郎委員の質問に対し、高額所得の高齢者に年金給付を辞退してもらい、その分を相続財産から差し引いて相続税を軽減する独自案も披露した。挙げ句、「先生どうですか。野党から提案してもらったら。私は応じると思いますよ」と水を向け、浜田委員が「私は野党の立場で質問しているんじゃない」とぶ然とする場面もあった。
証券市場を「賭博場」に例えて、株価下落の要因とされた空売りへの規制導入を後押しするなど、このところ“口先介入”で実績を上げてきた塩川財務相。舌のすべりはますます滑らかだが・・・。 【川俣友宏】