政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は19日の基礎問題小委員会後の会見で、利子や配当など金融関連所得をまとめて、給与などの勤労所得と分離する「二元的所得課税」を検討課題に取り上げる考えを示した。金融所得をひとまとめにする結果、現在の複雑な金融税制を簡素化できるうえ、低税率を適用することで投資優遇の環境を整備できる。
石会長は「今の金融税制は(複雑すぎて)誰もいいとは思わない。二元的所得課税は、議論の価値はある」と述べ、6月の基本方針のとりまとめに向け議論する考えを明らかにした。
二元的所得課税は、ノルウェーなど北欧諸国が採用している。預貯金の利子や株の配当など資産運用で得た所得を金融所得としてひとまとめにし、累進税率の勤労所得より低い税率を適用している。
ただ、現行で10分類の所得を勤労所得と金融所得にどう区分けするかや、個人の金融所得の把握が技術的に可能かどうかなど難題も多い。石会長も「やるとしても(最低でも)2、3年はかかる話」と長期的な課題と位置づけている。 【鬼木浩文】