東京証券取引所は18日、個人や法人などの投資家が機関投資家などから借りた株を市場で売る「空売り」の売買代金の月間総額を4月から毎月公表する方針を決めた。東証は19日の取締役会で正式決定する予定で、大阪など他の証券取引所も追随する見通しだ。
不当な空売りが株価下落に拍車をかけているとして、政府のデフレ総合対策に空売り規制強化が盛り込まれ、金融庁が空売り規制を強化している。東証はこれまで、空売り売買額は非公開としてきたが、金融庁の要請に応じて、市場の透明性を一段と高めるため、公表に踏み切ることにした。
毎月の空売り売買額が翌月の中旬ごろに公表される予定で、異常な株取引への監視が強まる効果が期待される。海外では、月ごとの空売り残高はニューヨーク証券取引所も公表している。東証の計画では、空売りの対象になった個別銘柄や手口などは公表されない。
日本の市場での空売りは、取引全体の5―10%(市場筋)と言われるが、実態は不明だ。このため空売りによる株価下落圧力に対する投資家の不安心理が増幅されるなど、空売りに関する情報不足も株安を助長する要因と指摘されていた。
金融庁は、空売り規制を強化するとともに、違反取引の監視も強め、昨年12月以降、証券会社4社に一部業務停止命令、3社に業務改善命令を出した。