3・16午前NHK衛星1で放送された「フランスF2ニュース」は、EUが雇用の拡大の切り札として打ち出している米国的雇用関係確立の一環としてフランス政府が「労働者権利章典 第18条」を削除しようという動きに対して、フランスの主要労働団体3つがゼネストを計画していると報じた。
フランスの「労働者権利章典 第18条」は、「労働者は正当な理由なく解雇されない」というものである。
======================================================================================
★ EU支配層が、雇用拡大の切り札として米国的雇用関係の導入を唱っているのは、「簡単に解雇できないようでは、雇用したいと思っていても、将来人員過剰に陥ったときのことを考えて二の足を踏むから雇用が拡大しない」という理屈に依拠したものであろう。
この理屈が屁理屈でしかないことは自明である。
● 成熟した先進国はGDPの60%以上を個人消費に依存しており、安定的な雇用維持が安定的な個人消費を支える。
● 企業の現実行動は、人手が必要なときには雇用を行い、人手が余剰になれば、あれこれと方策を立てて解雇を行うものである。人手を採用することで儲けられるチャンスがあるときに、将来の解雇問題を考慮して採用しないということはしない。
● 米国経済が欧州諸国の経済と比較してそれなりに成長したのは、米国の“柔軟な”雇用関係に依拠したものではなく、基軸通貨国の特典で「貿易赤字」の垂れ流しを続け、厖大な「財政赤字」が日本を中心とする諸外国からの資金流入でまかなわれ続けられ、そのような米国経済の“砂上の楼閣性”を見抜けない諸外国の投資家が厖大な証券投資を行ってきたからである。すなわち、85年以降の米国経済は、“借金王”としての繁栄だったのである。
● 米国の“柔軟な”雇用関係は雇用の拡大に貢献したわけではなく、企業=資産家の“最大限利益追求”に貢献しただけである。米国経済は、徴収できる経済主体から税金をきちんと徴収し、安定的な雇用関係を維持されていたほうがより成長を遂げていた。