「日本はもう既に経済危機の状況にある」。榊原英資慶大教授(前財務官)は16日、ワシントンのジョンズ・ホプキンズ大での討論会で日本経済の苦境を取り上げ、小泉政権の経済構造改革の遅れを厳しく批判する持論を展開した。
榊原氏は日本の危機について「金融市場で株や為替が暴落するような意味ではない」と前置き。しかし政府が関与して再建策が講じられた流通大手や建設会社を例示し「(市場原理に沿って)倒産させていれば、株価も上がったし、経済が早く回復する糸口もつかめたはずだ」と、榊原氏は小泉政権の経済政策運営をなで切りにした。
さらに榊原氏は「小泉政権は真の構造改革のための専門知識や展望を持っていない」と突き放す一方、「時間はなく、われわれは構造改革に真剣になる必要がある」と訴えるなど、財務官時代からの歯に衣(きぬ)着せぬ持ち味は依然健在だった。
米政権が、ブッシュ大統領の訪日などを通じ小泉政権への支持を明確に打ち出しているだけに、討論に参加した知日派の米国務省当局者は、もっぱら小泉首相の擁護役に回っていた。(共同)