農林中央金庫と全国漁業協同組合連合会(全漁連)は信用事業を営む漁協の自己資本比率の基準を10%以上とし、基準を下回ればリストラや事業譲渡を指導する独自の安全網を4月に始動する。4月のペイオフ(定期預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)解禁を受け、破たんを未然に防ぐ仕組みを整え、漁協の信用を維持したい考えだ。
独自の安全網の対象は信用事業を展開する約700の漁協と、漁協の集めた貯金を運用する34都道府県の信用漁業協同組合連合会(信漁連)。今年度末の決算から農林中金と全漁連が経営指標を調べ、新規融資の制限や信漁連への事業譲渡といった必要な対策を指導する。指導に従う漁協などには漁協系独自の基金で資本増強を支援する。
農林中金は漁協の集めた貯金を運用するなど漁協側と密接な関係にある。農水省は、漁協の経営を指導する権限を農林中金に持たせるため、農協再編強化法の改正案を今国会中に提出する方針だ。