【ワシントン逸見義行】
エネルギー販売最大手、エンロンの倒産事件で、同社の会計監査を担当していた大手会計事務所、アーサー・アンダーセン(本社・イリノイ州)に対する顧客企業の契約解除が増えている。米司法省が14日、アンダーセンを司法妨害で起訴したのを受け、電力会社など大手4企業が15日、契約を解除。市場では「このままではアンダーセンの倒産は不可避」との悲観論が強まって来た。
14日起訴されたアンダーセンが有罪になれば、最悪の場合、5年間の監察処分と罰金50万ドル(約6500万円)が科される。司法省のトンプソン副長官も、起訴を発表した際「起訴が深刻な結果を招いても誰も驚かない」と述べ、アンダーセンの倒産もやむなしとの厳しい認識を示した。
アンダーセンは、大手4企業が15日に契約解除を発表したことで、年間の会計監査手数料1500万ドル(約19億3500万円)を一気に失った。大口顧客の米政府も同日、起訴期間中はアンダーセンとの新規契約を停止することを決めた。今月だけでも大手医薬品メーカーのメルク、デルタ航空、フェデックスなど有名企業が契約解除を決定。今年に入って、すでに40社以上から会計監査契約を失っている。
アンダーセンは今回の起訴に、「根拠がなく、権力濫用だ」と反発しつつも、「起訴は、会計事務所にとって死刑に値する」と、危機的状況にあることを認めている。
[毎日新聞3月16日] ( 2002-03-16-18:18 )