阪急百貨店が、能力主義を徹底した新人事制度の4月導入を前に、社員に進路選択を求めたところ、早期退職と関係会社への転籍に計767人が応募した。会社に残って厳しい社内競争を闘うより、通常の退職金に年収の3〜4年分の特別加算金が上乗せされる好条件を選ぶ人が、全社員4447人の17%に達した。同社は「直ちに営業に支障はない」と言うが、一部部門では配置転換や派遣社員による欠員カバーを迫られている。
新人事制度は、経営幹部を目指す「総合職」と、店舗、職種を限定した「販売専任職」、デザイナーなど高度な技能を持つ「プロ職」に職種を分ける。販売専任職とプロ職は年俸制で、能力によって高給与が可能になるが、業績を上げることが出来ないと年収ダウンもある厳しい制度。いずれも希望しない社員のうち、487人が退職、280人が転籍を選んだ。3月末で退職、転籍する。退職者には再就職の支援も行う。
退職者は後方事務など営業支援の部門で多く、物流や施設管理部門で転籍を選ぶ人が多かった。
一方、特別加算金を払うために02年3月期で計上する特別損失は、当初予想の100億円から150億円に増える。社員数の減少で、人件費は連結ベースで年間27億円減る。 【小林理】