20代の3人に1人は鯨肉を一度も食べた経験がないことが、内閣府が16日に発表した捕鯨問題に関する世論調査で分かった。この年代では、学校給食や家庭の食卓で鯨肉がよく食べられていたことを知らない人も急増しており、88年に商業捕鯨が中止されて以来、捕鯨推進国・日本でも年代によって経験や意識に変化が生じている。
調査は、4〜5月に山口県下関市で国際捕鯨委員会(IWC)年次会合が開催されるため、世論を高める狙いもあって昨年12月に全国の20歳以上の男女5000人を対象に捕鯨に関連した質問を行い、3453人から回答を得た。
それによると、「日本が科学的根拠に基づいて沿岸捕鯨をすることは認められるべきか」との問いに対し、71%が賛成と回答。反対の10%を大きく上回り、国内では依然として商業捕鯨復活に期待論が根強いことを裏付けた。
しかし、若者には鯨肉を食べた経験がない人が増加。全体では87%が「食べたことがある」と答えたが、20代では男性の38%、女性43%が「食べたことがない」と回答した。また20代では男性の30%、女性の27%は、かつて鯨肉が広く食べられていたことを「知らない」と答えている。
こうした結果は、仮に商業捕鯨が将来復活しても、食品市場にどれだけ需要があるか疑問も示しており、給食の人気メニューだった鯨肉が懐かしい世代には寂しい結果となった。 【荒木功】
[毎日新聞3月16日]