01年3月末段階で、金融機関の貸し出しや出資などを通じた資金供給が過去最大の1537兆円と全体の資金供給の70%を占め、90年3月末(63%)より比率が高まっていることがわかった。直接金融市場の育成が叫ばれているものの、まだ間接金融に頼っている実態を示している。一方、12月末の個人金融資産(家計)の総計は1420兆円で、前年同期比0・3%減となった。
日銀が15日の資金循環速報で初公表したもので、金融機関の資金供給は90年末に比べ約500兆円も増えた。貸し出しは3年連続で減少したが、金融機関が販売した投資信託や政府から引き受けた国債が増えている。一方、金融機関を仲介しない直接供給は150兆円で90年末比で50兆円増えたが、部分的なものにとどまっている。企業間信用は414兆円で、96年3月末より50兆円も減っており、厳しい景気を背景にした信用収縮が反映されている。
また、4月からペイオフ(定期預金の払戻し保証額を元本1000万円と利息とする措置)が凍結解除されることから、個人や企業は01年10〜12月に定期預金から普通預金・国債に資産を急激に移している。01年10〜12月の個人の定期預金は前年同期比13兆円減の578兆円、普通預金は同21兆円増の148兆円。また、一般企業の定期預金も同14兆円減の39兆円と激減する一方、普通預金は同8兆円増の79兆円となった。 【藤好陽太郎】
[毎日新聞3月16日]