みずほやUFJなどの4大金融グループが02年3月期に、不良債権や有価証券の売却などで資産(リスク・アセット)を約25兆円減らすことが16日、明らかになった。資産全体の1割近くに相当し、過去最大規模にのぼる。収益力を高め筋肉質の経営にする狙いで、自己資本比率も0・9%程度アップする見通しだ。ただ、こうした急速な資産圧縮に対しては、「貸し渋りにつながる」と懸念する声も出ている。
4大グループの資産は昨年3月末段階で計301兆円。このうち、みずほグループは105兆3000億円(昨年3月末)の資産に対して9兆円圧縮する。61兆8000億円の資産があるUFJグループも最大7兆円減らす方向だ。三菱東京フィナンシャルグループと三井住友銀行は、合計10兆円弱を減らす見通しだ。
邦銀は7年連続で、本業のもうけである業務純益を不良債権処理額が上回っており、過去の蓄積である剰余金や株の含み益をほぼ食いつぶしてきた。景気低迷が続く限り不良債権の新規発生は避けられず、自己資本比率が目減りする懸念もある。
このため、各グループとも不良債権処理を加速させているほか、価格変動リスクのある株式を売却。さらに、損失をカバーできるよう金利の引き上げを求めたり、他行と協調して融資するシンジケート・ローンなど手数料ビジネスへの転換を図っているケースが目立つ。【藤好陽太郎】