日本銀行は15日、2001年10−12月の資金循環(速報)を発表した。それによると、同年12月末の家計の金融資産は1420 兆円と、前年同期比0.3%減少した。同年9月末(1.6%減)に比べると、マイナス幅は縮小した。
家計の金融資産のマイナス幅が縮小したのは、株価の下げ幅が縮小したことが一因。01年12月末の東証株価指数(TOPIX)は1032.14で、前年同期比19.6%低下。同年9月末は1023.42で、同30.4%低下していた。民間非金融法人の金融資産は同7.1%減の665兆円。負債は9.3%減の1104兆円だった。
10−12月の部門別の資金過不足は、民間非金融法人が2.1兆円の余剰と、前年同期(8.1兆円の不足)から資金余剰に転じた。家計は14.4兆円の余剰で、余剰幅は前年同期(14.5兆円)から横ばい。一般政府は15.4兆円の不足と、不足幅は前年同期(8.9兆円の不足)から拡大した。
01年の家計の余剰幅は大きく減少
2001年を通じた資金過不足は、非金融法人が19.8兆円の余剰と、2000年(8.4兆円の余剰)から余剰幅が拡大。そのうち、民間非金融法人の余剰幅も 21.8兆円と、00年(12.7兆円)から拡大した。日銀調査統計局の河野圭志経済統計課長は「01年の設備投資が00年に比べ減少したことが、余剰幅の拡大に影響した可能性がある」としている。
一方、01年の家計の余剰幅は17.9兆円と、00年(29.3兆円)から大きく縮小した。河野課長は「収入や所得の伸び悩みが、家計の余剰幅縮小に寄与した可能性がある」としている。一般政府の不足幅は32兆円と、00年(35.2兆円) から縮小。海外の不足幅は10.3兆円と、00年(11.9兆円)から小幅縮小した。
01年の名目国内総生産(GDP)に対する比率は、一般政府の不足幅が6.4%、海外の不足幅が2.0%と、00年(それぞれ6.8%、2.3%)から若干縮小した。家計の余剰幅の対名目GDP比率は3.6%と、00年(5.7%)から大きく低下した。
01年は郵貯の運用が減少、現金・預金が大幅増
01年の家計部門の資金運用額(フロー)は、郵便貯金の大量満期の影響で、郵貯が14兆円減少し、マイナス幅は00年(5.3兆円)から大きく拡大した。郵貯以外の現金・預金は25.7兆円増加と、プラス幅は00年(13.3兆円)から大きく拡大した。
投資信託は1.5兆円の増加にとどまり、プラス幅は00年(8.8兆円)から大きく縮小した。四半期ベースでみても、10−12月の投信運用額は1.1兆円減少し、前年同期(1.7兆円増加)からマイナスに転じた。