米国「マイクロソフト」の100%子会社「マイクロソフト」日本法人(東京都渋谷区)の徳武信慈・元常務(50)が在職中、親会社から与えられたストックオプション(自社株購入権)で得た所得約8億円を隠し、約3億円の所得税を免れていたことがわかり、関東信越国税局は14日までに、徳武元常務を所得税法違反(脱税)容疑で長野地検に告発した。同社では昨年にも、他の元常務のストックオプションを巡る脱税事件が発覚。旧経営陣への相次ぐ刑事告発に、同社も対応策を迫られそうだ。
関係者によると、徳武元常務は1999年と2000年の2年間に、マイクロソフト社から得たストックオプションで親会社の株を購入し、計約8億円の利益を得た。この利益を給与所得として税務申告しなければならなかったが、米国の取引口座にプールしたまま隠していた疑い。
徳武元常務は98年にもストックオプションにより親会社株を取得。この時は税務申告しており、徳武元常務は、申告の必要を認識していながら、その後に得た利益を意図的に隠していたとみられている。
徳武元常務は現在、東京都内の在住だが、所得隠しを行っていた2年間には、実家がある長野県内に住んでいたため、同県内が納税地となっていた。
マイクロソフト日本法人では、86年の設立以来、社員全員が米国の親会社から与えられたストックオプションを利用できる。ストックオプションの株数など最終決定は、親会社から各社員に電子メールで直接届き、専用のサイトで手続きする仕組み。このため、日本法人側が各社員の権利行使の状況を把握できず、税務申告も個人に任されているという。
同社では昨年6月にも、長谷川正治・元常務(53)がストックオプションで得た所得約7億2000万円を隠していた疑いで、名古屋国税局から静岡地検に脱税容疑で告発されている。この事態を受けて、同社は社員全員に正しい税務申告を促す電子メールを送り、注意喚起していた。
徳武元常務は92年に同社に入社し、99年に常務になり、昨年10月に退職。14日までの読売新聞社の取材に、徳武元常務は「応じられない」としている。
(3月15日03:04)