鈴木宗男議員を自民党は離党させようとしている。どういう感覚なのか。鈴木氏が自民党議員でなくなれば自民党自身は正しい政党で、あんな議員とは関係ないと主張する趣旨なのだろうか。もしそうだとしたら、世の中をばかにしていないか。離党など国民と何の関係もない。
いや実は企業の個人献金を禁じて政党献金だけにしたので、議員は政党の支部をわんさか作ってその支部長になり、支部に献金してもらうようにした。支部への献金は支部長のもの。自民党を離党すると政党の支部長になれない。だからお金ももらえない。政治家にとって致命的仕打ちだ。離党は決定的処分で議員生命を絶つほどだ。
ところがこの政党支部への献金システムはいってみれば法の抜け穴。あまりでかい声で言える理屈ではない。自民党内だけで通じる絶対的な理屈なのだ。自民党議員全員がおかしなやり方にかかわる全員運命共同体という悲しさがかいま見える。
世間と自民党のずれの原点である。言っている理屈と実態が常に違う。自民党的には離党は大変なことだと信じて疑わないが、外から見ているほうは、離党って、おまえばかじゃないかとなる。いろんな政策や政争で永田町的には絶対に正しいが、世間的には何をトンチンカンなことをやっているのだろうと常々うつる構図の原点なのだ。
で、一見その世界から隔離された一般人ゆえの政界変人小泉純一郎首相が半年前ならどんと名裁きする場面なのだが、トンと声がない。さては彼らの世界に飲み込まれたかと疑いが増す。宗男さんの件ではない。3月危機の先延ばしに成功したからといって、危機の原因はほぼそのままだ。ムネオ目くらましのあと加藤紘一さん問題でまた目くらましではすむまい。 (菊)