サラリーマンが加入する健康保険組合の9割が赤字となる見通しであることが、健康保険組合連合会が14日発表した02年度予算見込みでわかった。赤字額は前年度より848億円多い5731億円で過去最大。また、母体企業の倒産や財政悪化に伴う健保組合の解散、企業再編に伴う合併などで組合数も大幅に減少し、厚生労働省に解散・合併の手続きを申請している「予備軍」を含めると4月1日には1696組合となる見通し。組合数が1700組合を割り込むのは82年3月(1688組合)以来だ。
調査は、1696組合を対象に実施、回答のあった1563組合の状況をもとに、同連合会が全体の赤字組合数などを推計した。
赤字組合数は、1541組合(91%)で、赤字額の合計は5871億円。これに対し黒字の組合は155組合(9%)で、黒字総額は140億円にとどまる。不況の影響で、保険料算定のもとになる給料水準が低迷しているうえ、リストラなどにより被保険者数が減少したことから、保険料収入は前年度より702億円減る見通し。その一方で、高齢化の進展で老人保健制度、退職者医療制度などへの拠出金が752億円増える見通しで、財政悪化に拍車をかけた。
収入減を補うために保険料を引き上げる組合は100組合。サラリーマンの医療費3割負担や保険料を年収換算で徴収するなどの制度改正を盛り込んだ医療制度改革関連法案が今国会に提出されていることから、来年度は赤字予算のまま積立金の取り崩しなどでしのぎ、制度改正の結果を見極めたうえで財政見通しを立て直す様子見の組合も多いとみられる。
老人保健制度、退職者医療制度への拠出金はそれぞれ1兆8689億円、5748億円。その他の拠出金を含めた拠出金の総額は2兆4440億円で、保険料に占める割合は44%に達している。また、組合別でみると、拠出金の割合が保険料収入の5割以上を占めている組合は391組合にのぼった。(20:46)