谷口財務副大臣は、今後の経済情勢次第では、財政・金融政策両面からの政策対応を除外する必要はないとの認識を示した。このうち、金融政策については、長期国債の買い切り増額について検討余地があるとし、外債購入についても、現在念頭に置いているわけではないが、政策手段として残しておいたほうがよい、と述べた。
ロイター通信とのインタビューで述べたもの。
谷口副大臣は、足許の景気認識について、米国経済の好転などをあげ、「若干明るい兆しがみえてきた」と述べた。さらに、2月27日の政府のデフレ対応策とそのなかに盛り込まれたカラ売り規制強化の効果、2月28日の一段の金融緩和措置から、「危惧(きぐ)した3月危機は、何とか乗り越えられたのではないか」と述べたが、デフレ克服に向けて、将来、財政・金融両面の政策手段を除外する必要はないと強調した。
デフレ克服のために一段の金融緩和を求める声があることについて、谷口副大臣は、現行の日銀当座預金残高目標10~15兆円をさらに引き上げることは難しいとする一方で、「月1兆円の国債買い切りをさらに増やし、ポートフォリオ・リバランス効果を狙う方法がある」と述べた。
谷口副大臣は、「金融政策でなしうることが、全くなくなったのかと言われれば、そうではない」とし、さらなる緩和手段について、「ひとつは、長期国債の買い切りオペで、増額できる範囲で、(増額を)検討してもよいのではないか」と、銀行券発行残高を上限とする中長期国債買い切り増の検討余地を挙げた。
また、「外債購入も手段のひとつとして、残しておいたほうがよい。いま、念頭に入れていないが、政策手段のひとつとして、残しておいたほうがよいのではないか」と発言した。
一方で、インフレターゲット導入については、日銀の独立性の観点から、「慎重に考えるべきだ」と述べた。
3月危機がを乗り越えたとの認識から、3月19日、20日開催の日銀金融政策決定会合について、「私の予想だが、政策の変更はないだろう」と述べた。
財政面からの措置についても、「状況いかんによって、一段の財政による景気刺激策を考える必要があるのではないか」と述べ、資産デフレ状況を脱するために、土地の流動化を進める税制面からの対応のほか、都市再生を目的とした追加財政措置などを列挙した。“首相公約の新規国債発行30兆円枠を堅持できなくなるが”との質問に対して、「総理は譲らない考えだが、不良債権処理はデフレを一層加速させる要因もあるので、両にらみ(景気と財政規律)で万全の体勢でいきたい」と、弾力的な考えを示した。