政府は3月の月例経済報告で、2000年11月からの景気後退局面で初めて、基調判断の上方修正に踏み切った。理由は「下げ止まりの兆し」がみられる生産。日本経済は景気悪化が深刻さを増すばかりの状況から、「景気底打ち」につながる光明をようやく見いだしたと言える。ただ、雇用情勢は深刻化する一方。「変化」が現れたとはいえ下押し圧力も強く、楽観を許さない状況に変わりはない。
生産は一貫して今回の景気後退の主因だったが、年明け以降急速に下げ幅を縮小し、製造工業生産予測調査では2月には増加に転じると予想されている。IT(情報技術)部門を中心に在庫調整が進展したほか、米国やアジアの経済回復から輸出が下げ止まりつつあることが背景で、内閣府幹部からは「1−3月期に生産が下げ止まる」との観測も出始めている。