財務省幹部は、1月の経常黒字の伸び率について、1985年の統計開始以来、2番目に高い伸び率であることを明らかにした。
1月の国際収支発表の席で、述べたもの。 経常黒字は 前年比+224.3%の7090億円、貿易黒字は前年比+424.4%の3368億円 だった。
1月の経常収支の内訳をみると、まず貿易収支が黒字幅を拡大しサービス収支が赤字幅を縮小したことで、貿易・サービス収支が赤字幅を縮小した。
貿易収支については、輸出が前年比−2.9%と、減少幅を縮小しつつも10カ月連続で減少している一方、輸入の減少が同−11.0%と輸出の減少を上回ったため、19カ月ぶりに黒字幅を拡大した。
財務省幹部によると、1月の貿易黒字の伸び率の前年比+424.4%は、統計開始以来最大だという。ただ同幹部によると、1月は例年企業の休みが多いことから貿易のボリュームが小さいことに加え、昨年の1月は中国の旧正月が1月にかかっており輸出が伸びなかったため、特に赤字幅が大きかったという。これらの背景から同幹部は、今回の貿易黒字は昨年の特殊要因の剥げ落ちもあり、「額面通りに受け取らずに、若干割り引いてみた方が良い」との見方を示した。
同幹部は貿易黒字の先行きについては、「月例報告にあるように、輸出は下げ止まりつつあり、輸入もこの先どんどん減少ということはない」との認識を示した。そのうえで同幹部は、「輸出は米国景気の回復がどの程度強く、(回復が)どの程度のタイミングかで左右される。輸入については、米国景気を受けた日本景気の回復の強さとタイミングによる」との見方を示した。
サービス収支は赤字幅を縮小しており、これはテロの影響で「輸送」、「旅行」で赤字幅を縮小したことによるもの。また所得収支は、自動車や電気の海外子会社の決算が好調で引き続き黒字幅を拡大、経常移転収支も、プリンストン債事件の和解金が支払われたため、初めて黒字に転換した。
以上のことから、1月の経常黒字は前年比+224.3%となり、財務省幹部によると、1991年11月に次いで、統計開始以来過去2番目の伸び率になったという。同幹部は、この先、「経常黒字がどんどん減っていくような感じはしない」との認識を示した。