世界銀行は年次報告書を発表し、2003年には、世界経済は深刻な景気減速から力強く回復する見通しだが、多くの諸国の経済成長率は、世界の貧困問題が迅速に縮小するほど高水準に達することはない、との見方を示した。
このグローバル・デベロップメント・ファイナンス報告書で世銀は、2002年の世界経済成長率を1.3%と予想している。2000年の成長率は3.9%だった。
また、2002年の米経済成長率は1.3%、2003年については3.7%との予想を示した。これは、米景気はすでに回復地合いとなっていることは明らかだとするグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長の最近のコメントと一致したものになっている。
さらに、外国為替市場におけるドルのレートは、経常収支の調整が原因で今後数年間、軟化するとの予想を示し、「2002年以降数年間の(経常収支の)調整にともない、段階的にドル安が進み、一部欧州諸国で経常赤字が拡大することが予想される」と指摘した。
日本経済については、現在の状況は2001年10月の時点よりも厳しいと指摘し、銀行に起因するダウンサイドリスクの存在について警告し、「ぜい弱な日本の銀行セクターは、現時点で想定している以上に厳しい展開を誘発する可能性がある」と指摘した。
そのうえで、日本経済は2002年には1.5%のマイナス成長となるものの、2003年には1.7%のプラス成長となるとの見通しを示した。
一方ユーロ圏の2002年経済成長率は1.2%、2003年は3.3%に上昇する可能性が高いと述べた。
さらに世銀は、トルコとアルゼンチンの不透明感は、エマージング(新興)市場に対して一定のネガティブリスクをもたらしている、と指摘した。
そのうえで、中南米・カリブ海諸国の状況は昨年10月時点以上に悲観的だとし、2002年の経済成長率は0.5%との予想を示した。