社会保障制度審議会(首相の諮問機関)の年金基金運用分科会は12日夕、年金資金運用基金の2002年度(2003年3月期)の新規運用額は今年度の約4.5倍に膨れ、9兆円となると発表した。
厚生労働省年金局によると、この新規分を運用する内訳の概要は、国内株が1.7兆円、債券が3.3兆円、外債と外国株はそれぞれ1兆円半ばとなる。その他は短期金融商品などとなっている。
外債2%、外国株式3%に
この結果、2003年3月末の運用資産全体の構成割合は国内株式の比率が5%(今年度は4%)、国内債券は87%(同90%)を、それぞれ目標とするという。その他の資産構成では、外国債券が2%(同1%)、外国株式が3%(同2%)。
また、年金資金運用基金の資産額は今年度末の約168兆円から来年度約165 兆円に減るという。
財政投融資制度が抜本改革される以前は、旧年金福祉事業団(現在の年金資金運用基金)が徴収した保険料を、いったん財務省資金運用部に預託、その一部を借り入れる形で、旧年福事業団が自主運用を行っていた。
移行期間中に年平均17兆円増える
しかし、2001年4月、財投制度が改革されるにともない、年金資金運用基金が発足。それと同時に預託制度を廃止した。ただ、激変緩和の暫定措置として、今後7年間で、預託していた資金を、年約20兆円ずつ回収していくことになっている。一方、資金運用部から借り入れて運用していた資金約26兆円も年約3兆円ずつ返済していく。
このため、年金資金運用基金の資産は、年平均約17兆円ずつ増加する仕組みになっている。だが、一方で、財投債の引き受け(財投協力)が義務付けられている。2002年度は15.7兆円の資金が増加するが、そのうち財投債引き受けが6.7兆円で、約9兆円が新規資金となる。
特殊法人改革と郵便貯金の集中満期がピークを超えたことなどから財投債の引き受けが2001年度より4割程度減少したため、新規資金は2001年度の2兆円から大幅に増える。
2008年度に株12%、外債7%の割合に
このように年金資金運用基金の資金は、全額自主運用までの移行期間、資金運用部からの返還分で、毎年、大きく増加する。また、資産構成割合も全額自主運用となる2008年度までに大きく変更される見通しだ。
2008年度に達成される「基本ポートフォリオ」は、国内債券68%、国内株式12%、外国債券7%、 外国株式8%などとなっている。資産額は150兆円に減少する。
時価が変わらないと仮定して、2008年度末の資産額を2002年3月末と比較すると、国内債券は約50兆円の減少となる一方、国内株式は約11兆円増、外国債券は約9兆円増、外国株式は約8兆円増える。