出光興産は2005年度末までにグループ人員の15%にあたる約1000人を削減する。設備過剰を解消するため国内6カ所の製油所のうち1カ所を閉鎖する。普通株で500億―1000億円増資し資本増強も進め、2006年度に予定する株式上場に向けて本格的なコスト低減に踏み切る。
出光グループの人員数は7000人強。大量採用した世代の社員が順次定年を迎え、年間300人前後が退職する。新規採用は年間50人前後に抑え、自然減により人員を6000人弱まで減らす。
製油所の統廃合は兵庫製油所(兵庫県姫路市)を軸に閉鎖を検討する。出光グループ全体の精製能力は月間390万キロリットル。軽油など石油製品の販売低迷で精製能力が販売量を2割程度上回り、稼働率が落ち込んでいる。兵庫製油所は精製能力が月間40万キロリットルで、人員数は160人。
人員と設備の削減で、経営を圧迫している約1兆5000億円(2001年9月末)の連結有利子負債を2005年度末に1兆円以下に減らす。
現在の資本金構成は、オーナーである出光家が普通株で10億円を出資、三井住友銀行など12金融機関が優先株で378億円出資している。2年後にも同社としては初めて出光家以外を対象に500億―1000億円規模の普通株増資を実施する。金融機関や取引先など数十社に2ー3%ずつ持ってもらう方針だ。
出光はこれまで「社員は皆家族」という独自の経営理念を掲げ、リストラには一線を画してきた。販売環境の悪化で石油業界の再編が進むなか、2000年度に初めて外部資本を受け入れたのに続き、過剰な人員や設備も見直す。
(4/10 1:30)