4月から実施されたペイオフ解禁目前に、預金の大移動が起きていた実態が明らかになった。預金は“寄らば大樹”とばかりに4大銀行グループに集中。中でも、東京三菱銀行が大人気となった。また、“親方日の丸”の郵便貯金も強さを発揮した。
全国銀行協会がまとめた3月末現在の預金・貸出金速報によると、都市銀行の預金残高は1年前に比べ12.1%、金額で24兆1535億円も増え、223兆2212億円となった。これに対し、第二地方銀行は同1.0%減の55兆6838億円で、中小から大手銀行にシフトした実態を浮き彫りにしている。
中でも、個人の預金はみずほ銀行、三井住友銀行、UFJ銀行、東京三菱の4大銀行に集中。読売新聞によると、3月末の4大銀の個人預金残高は、1年前に比べ8%増、金額で7兆7000億円多い104兆3000億円に達した。特に、東京三菱は全体の増加額の半分近くを占める3兆1000億円も増え、個人預金者が信用力で4大銀行を選別している実態をうかがわせる。
また、預金別の内訳では、普通預金などの流動性預金は同45%増の47兆円と急増したのに対し、1000万円以上の大口定期預金は同25%減の17兆7000億円に激減したとしている。
これは、普通預金については、4月以降も1年間は全額保護の特例措置が続くためで、銀行内部でも預金移動が起きたようだ。
一方、郵政事業庁がまとめた平成12−13年度の郵便貯金動向によると、バブル時代に高金利で預けられた10年物の定額郵貯がこの2年間で106兆円も満期を迎えた。このうち利息分などを除いた77兆円の約7割に上る54兆円が再び郵貯に預けられた。
大量満期による資金流出が懸念されていたが、獲得を狙った証券会社は株価低迷で惨敗。ペイオフ解禁の影響で民間銀行に流れることもなかったようだ。