金融庁は15日、主要14銀行の特別検査の最終結果の公表を4月にするとともに、検査結果を反映した自己資本比率など健全性にかかわる指標も、4月中に公表する方針を明らかにした。特別検査の結果公表は、小泉純一郎首相の指示で14日に急きょ決まったが、検査結果を反映した銀行の健全性の指標まで示して初めて、市場などから正当な評価を受けられると判断した。
多額の債務を抱え、倒産すれば銀行の健全性に影響を及ぼしかねない個別企業への融資が不良債権化していないかを調べる特別検査の結果は、検査に対する信頼性を高めるために公表する。ただ、検査で不良債権額が増えたことだけの公表では、銀行経営をめぐって様々な風評が飛び交う恐れがあると判断した。
公表する健全性の指標は、国際決済銀行(BIS)が定めた自己資本比率や融資残高に占める不良債権の比率などの数値。自己資本比率は、国内と海外で業務を行う銀行は8%以上、国内だけで業務をする銀行は4%以上が必要だ。
検査の結果、多くの融資が不良債権化すれば、銀行はより多くの貸し倒れ引当金を積まなくてはならなくなり、自己資本比率が低下し健全性に問題が生じる。政府は特別検査の結果、仮に銀行が過小資本になり金融危機を招く恐れが出た場合は、ちゅうちょなく公的資金を注入する方針を明らかにしている。
一方、特別検査の結果公表時期を、柳沢伯夫金融担当相は「01年度末に向けて、できるだけ早く」という方針を14日に示していた。だが、銀行の3月期決算に、3月末時点の融資先企業の業況を反映させるのが特別検査の目的である以上、最終結果がまとまるのは4月上旬にずれ込む。金融庁は、3月中に暫定的な結果を公表することも検討するが、暫定値と最終結果の開きが大きいと検査そのものへの信頼が失われかねないため、慎重に判断する。
検査結果は、銀行の自己査定により、現在は不良債権扱いでない要注意先債権に分類されている企業向け融資が、特別検査を通じてどのくらいの割合で不良債権に分類し直されたかなどの形で公表される見通しだ。