大手生命保険会社が相次いで海外拠点の整理・縮小に動いている。朝日生命保険が3月末まで海外現地法人を全廃、日本生命保険や三井生命保険なども2002年度の組織改正で海外事務所を縮小する。海外拠点は外債投資など外国資産の運用環境を把握するうえで重要な役割も果たすが、生保を取り巻く経営環境の悪化を背景に、コスト削減のため、絞り込みを急ぐ。
朝日生命は経営再建策である「プロジェクトR」の一環として、海外現地法人の全廃を打ち出した。ロンドン、ニューヨーク、香港の投資顧問現地法人3社、ロンドンとブリュッセルの不動産現地法人2社を3月末までに廃止する。
日本生命はシンガポール事務所を閉鎖する。所長と現地スタッフ2人が主にアジア市場に関する調査を担当していたが、香港事務所に機能を移転。シンガポールでの投資業務はドイツ銀行との提携で設立したニッセイ・ドイチェ・アセット・マネジメントに集約する。
三井生命はロンドン駐在員事務所を廃止する。4人が在籍、金融資産に関する調査・分析や情報収集に当たっていた。投資顧問の現地法人はロンドンに残る。駐在員事務所はニューヨークだけとなる。
海外拠点網を縮小する理由に関して、各社は「撤退分野の経営資源を収益性の高い部門に移す」(朝日生命)、「海外拠点の効率化を推進する」(日本生命)などリストラを優先する姿勢を前面に出している。