みずほフィナンシャルグループの準大手ゼネコンに、依然黄信号が点滅している。3月3日に佐藤工業<1804>が東京地裁に会社更生法を申請、とり残された飛島建設<1805>、ハザマ<1837>がやはり佐藤工の後を追うのでは、との憶測がにわかに高まっているのだ。小泉純一郎首相が米ブッシュ大統領に対し不良再建処理加速を公約、金融庁も特別検査を通じて処理圧力を高めており、飛島、ハザマの行方に市場の注目が集まっている。
●名義貸しに終わった大成・飛島提携
佐藤工業が自主再建断念を正式発表した2日後の5日、飛島建設が大成建設との提携と富士銀行からの金融支援をドタバタでまとめ発表した。飛島が不得意の建築部門を抜本的に合理化、大成からは人材も受け入れリストラを進めながら、886億円の金融支援をセットにして再建を目指すというのがその内容。
マーケットは「大成、飛島を救済」との思惑でいったん飛島株に買が入ったものの、当初、富士銀がもくろんだ「資本提携」が結局は土壇場で交渉決裂、事実上は大成の「精神的支援」にとどまったことが明らかになるつれ、再び弱含みの展開となっている。
しかも、飛島が抱える886億円の保証債務を一方的に100億円にまで踏み倒すわけだから、金融機関からのウケも悪い。取引行が今後、富士銀に限定されてくることは必至で、飛島不安説は結局は払拭できずじまいの決着となった。しばらくはナギ状態が続くものの、会計年度が改まり銀行に不良再建処理余力がでてくれば、4月以降、再び経営不安説が浮上してくる可能性も捨てきれない。
●ハザマ、ひとりぼっちの再生の道
佐藤工業が消え、飛島が曲がりなりに“大成傘下”に落ち着くと、どうしても高まってくるのがハザマ再生への不安説だ。みずほゼネコンの中では比較的、含み損の処理への着手が早く、再建期間を5年間(飛島建設はもともと20年)とするなど佐藤工業に比べれば傷が浅いとみられてきた。
だが、いざ佐藤工業の退場が決まるといきおいハザマへの風当たりは強まる。昨年夏、西武鉄道<9002>グループの西武建設との提携を発表。みずほグループ以外にも事業領域を拡大しようと躍起になっているが、高速道路の修理工事1件が転がり込んだだけで、返って「西武建設にまで手を伸ばすとは相当苦しいのでは」との憶測すら呼び、逆効果ともなりつつある。「自主単独の経営再建を目指す」(大和文哉社長)と強調するものの、先行きの不透明感は払しょくできていない。
(日向 陽太郎)