米政府は、欧州連合(EU)や日本の景気が回復しなければ、国際的な貿易紛争が鉄鋼以外の分野に拡大する恐れがある、との見解を示した。
アルドノス米商務次官(通商担当)が、英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)とのインタビューで述べたもの。
同次官は、農業や半導体などの分野に悪影響が及ぶ可能性がある、と指摘している。
同次官は、「米政府は、以前から、海外の景気が拡大しなければ、貿易収支の摩擦に発展すると表明してきた」と指摘。その上で、「非常に深刻なマクロ経済問題について協議する際には、その程度の忍耐しか持てない」と述べた。
米政府が発動を決定した鉄鋼製品のセーフガード(緊急輸入制限)に対しては、国際的に批判の声が高まっているが、同次官は、政府として断固とした姿勢を貫くとし、「今は、事態改善のために事態悪化が必要とされる時期だ」と述べた。
また同次官は、EUが、米政府の鉄鋼緊急輸入制限に対し、20億ドルの即時補償を求めていることについて、EUの要求を拒否する方針を示し、EUはまず世界貿易機関(WTO)の場で主張を立証する必要がある、と指摘した。
また同次官によると、米政府は金融市場への影響をもはや懸念しておらず、貿易問題への態度を硬化させる用意がある。
同次官は、ドル高に加え、EUと日本が景気の回復に失敗すれば、海外市場への依存度が高い米国の農業・ハイテク分野の回復が危ぶまれる、との認識を示した。