国際決済銀行(BIS)は、10日発表した金融市場に関する四半期報告でエンロン問題に言及し、「米大手エネルギー会社、エンロンの破たんが市場に対する信用を揺さぶった」と指摘した。報告書では「エンロン事件で市場参加者が最も不審に思ったのは特別目的会社との取引で決算数字が意のままに作られていたのではないかということだ」と総括。今年2月にエンロンの特別調査委員会が公表した「パワーズ・リポート」をベースに、破たんに至った原因とされる三つの特別目的会社の実態をまとめた。
BISは同リポートをもとに特別目的会社の利益の水増し額を再計算した。1997年12月に設立された特別目的会社「チュウコ」が累計で4億500万ドル(約518億円)、99年6月設立の「LJM1」が1億200万ドル、99年10月設立の「LJM2」が10億7700万ドルで、3社合計で15億8000万ドル余りとしている。その後の市場については、米国の景気指標が予想以上に回復を示していることから、株式市場は回復傾向にあるとしている。