日本最大規模の企業年金を持つ日立製作所は、国に代わって厚生年金を運用・給付している代行部分を返上する方針を固めた。4月にも厚生労働省に申請する。代行部分は日立の厚生年金基金資産約1兆円のうち4600億円(昨年3月末)に上る。代行返上によって年金関連の負担を減らし、業績への影響を抑える。代行返上を準備中のトヨタ自動車や花王、日本ユニシスなども踏み切れば、国の年金財政が一段と悪化する可能性がある。
日立は代行返上について労働組合と専門委員会を設け、協議を始めた。労使合意を経て申請する。返上は厚生年金に対して2段階で進める。まず、今後積み立てる必要がある将来分を返し、関連政省令の整備を待って2003年秋ごろにも既に積み立てた分全額を返す。日立が代行部分を返上するのは収益への負担を減らすためだ。株価下落などで運用利回りが代行部分に義務付けられている年5.5%を下回れば、逆ざや分を穴埋めしなければならない。