欧州委員会のラミー委員(通商政策担当)は、欧州中央銀行(ECB)のインフレ目標について、現行の上限水準ではなく、中間値とするべきだ、との見解を示した。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事の中で明らかにした。
ラミー委員は、FT紙で欧州の経済・政治改革への提案を打ち出し、その中で、ECBの政策は明瞭にされなければならない、と指摘。
「インフレ、デフレのいずれの圧力にも均等なウエートを置く英国の“シンメトリカル・インフレ・ターゲット”に大いに魅力を感じる」と表明した。
イングランド銀行(英中銀)が導入している“シンメトリカル・インフレ・ターゲット”は、特定のインフレ水準に注目し、その水準から上下に大きく外れることは、経済的生産活動や雇用に悪影響を及ぼすため、好ましくない、としている。
現在、イングランド銀行は、2.5%をインフレ目標とし、それからプラス・マイナス1%ポイントの幅を持たせている。一方、ECBは、物価安定の達成を目指すなかで、前年比+2%を上限としている。
ECBをめぐっては、インフレ上限目標を気にし過ぎて、昨年の景気減速局面で利下げに踏み切るタイミングが遅かった、との批判が聞かれている。