【シドニー=大石信行】オーストラリア政府が国債の利払い負担を軽くするために活用した為替スワップ取引に失敗し、1998年度(97年7月―98年6月)からの4年間に約46億豪ドル(約3174億円、1豪ドル=約69円)の損失を被っていたことがわかった。
豪政府は、米金利が豪金利よりも低いことを利用して通常ならば負担を減らすことが可能な為替スワップを80年代後半から活用してきた。豪ドルが比較的安定していた90年代前半は毎年2億―3億豪ドルの利益を得ていたが、97年のアジア経済危機以降、豪ドルが値下がりすると、金利負担の軽減分をはるかに上回る為替差損が生じた。豪ドルが史上最低水準に急落した2001年度は損失が19億2400万豪ドルに達した。豪ドルが急落するなかで、為替スワップの活用をやめなかったコステロ蔵相の責任を問う声も出ている。
政府は最近になってようやく為替スワップの利用をやめることにしたが、為替スワップの契約期限が2008年に設定されているため「最終的な損失がいくらになるかは分からない」(政府筋)状況という。