春の珍事か、本当の春なのか−。東京市場で7日、株式、円、債券がそろって上昇するトリプル高となり、その後のニューヨーク外国為替市場でも円が一時、126円台にまで急騰した。これまで「日本売り」一色だった外国人投資家の姿勢も「日本買い」に方針転換している。
1カ月前には平均株価がバブル後最安値をつけ、トリプル安の泥沼にあえいだことを思えば、正に天国と地獄。
7日の東京外国為替市場で1ドル=129円10銭まで進んだ円高は、ニューヨーク外為市場でさらに急伸、約3カ月ぶりに126円台後半となった。また、7日の東京株式市場では、平均株価終値が1万1648円34銭と、昨年8月中旬以来の水準で取引を終えた。
背後にあるのは、外国人投資家の「買い」姿勢だ。政府による株の空売り規制が投機筋などの買い戻しを誘い、平均株価は、米証券大手のメリルリンチは5日、機関投資家に対するリポートで、保有資産への日本株の組み入れを増やすよう推奨した。
米国景気の回復基調も、プラス材料となっている。グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日、上院銀行委で米景気が拡大局面にあることを証言。さらに「米景気の好転は、日本と東南アジア諸国に利益となる可能性が極めて強い」とした。いわば、日本経済の回復シナリオに、“お墨付き”を与えた格好となった。
ただし、このまま「日本買い」が続くという見方は少ない。足かせとなっているのは、やはり不良債権問題だ。「実体経済にプラス材料があるわけではない。下がり過ぎていた日本の評価が元に戻されているのみ。本格回復には程遠い状態」(同)と指摘する声も依然強いのだが…。