文部科学省所管の財団法人で、元公明党委員長の竹入義勝氏が理事長を務める「アジア教育文化交流協会」(東京都港区)がアルゼンチン国債を5億円分保有していることが7日、分かった。総資産6億2000万円の8割分にも上り、新年度の事業規模の縮小を余儀なくされている。
同協会は87年に設立し、中国からの私費留学生に奨学金を出している。文系の修士課程で研究していることを条件に、毎年10人に1カ月12万円を支給してきた。
文部科学省や同協会によると、2億5000万円の基本財産のうち、1億5000万円分をアルゼンチン国債で運用。その他の資産からも3億5000万円分購入していた。利率は4・4〜4・75%で、デフォルト(債務不履行)が宣言された現在でも利払いは続いているという。
しかし、運営は利息収入に頼っているため今後、事業費の確保が不安定になる恐れがあり、事業規模の縮小を決めた。新規の奨学生を1人の募集にとどめ、継続4人と合わせて計5人に奨学金を出すことにした。
資産の管理をしてきた常務理事は「事業を継続するために高い利息を確保しようと外国債に頼った」と話している。責任を取り1年間は無給という。金融の専門家からは「リスクの高い運用だ」との声もある。
文科省は決算報告でアルゼンチン債の保有状況を把握していたが、円建てだったため「外貨建て外国債の保有は不適切」とする公益法人の指導監督基準には抵触しないと判断して、具体的な指導はしていなかった。