【ロンドン=佐藤大和】
英米系格付け会社フィッチは6日、国債など日本政府が発行・保証する債務について「当面、償還不能になるリスクは小さい」との報告書をまとめた。同社は現在、日本政府の長期債の格付けをダブルAに設定している。
報告書は日本の巨額の財政赤字に対して「中長期的にみれば耐え難い水準に達する恐れがある」との懸念を表明。一方で、目先は(1)日本政府による(外貨準備による)十分な流動性確保(2)民間の高い貯蓄率――などを背景に、財政が破たんする可能性は限定的とした。波乱要因になりうる銀行の不良債権問題に関しては「預金流出を原因とする金融危機は考えにくい」との見方を示した。
日本国債の格付けを巡っては米系格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが「信用リスクが高まっている」としてダブルAマイナスからさらに格下げする方向で検討中。フィッチは「日本国債の当面のリスクは誇張されすぎている」とコメントした。