速水日銀総裁は、預金保険法102条では、金融危機を未然に防ぐ意味で、予防的資本注入は必ずしも排除されていない、との考えを示した。
衆院予算委員会で石井委員(公明)の質問に答えたもの。
予防的資本注入について、速水総裁は、「預金保険法102条では、信用秩序の維持に極めて重大な恐れがある場合を、(資本注入の)要件としている。金融危機を未然に防ぐ意味で、予防的資本注入は、必ずしも排除されていないと考える」と述べた。
さらに、個別の金融機関の状況に加え金融システム全体の信認の状況、市場や経済など一般的状況からみて必要と判断された場合などを挙げ、「こういう場合は、タイミングを逸せず、大胆かつ柔軟に対応することが重要だ」と述べた。
また、速水日銀総裁は、物価目標設定について、「金融政策の効果の発現には制約がある。さらに、構造改革や財政再建の物価への効果は必ずしも確実ではない。従って、物価に関し、数値目標を設定することは適当ではない」と述べた。その一方で、思い切った金融緩和政策を行っていること、他方で政府も集中調整期間の最重要課題にデフレ克服を挙げていることを指摘し、「デフレ脱却の決意は、政府と日銀で十分共有されている」と語った。
さらに、速水総裁は、「先行きデフレのなかでインフレ目標を作ることは、不可能で、適当でないことを説明していきたい」と述べた。