金融庁は破たん金融機関の受け皿が早期に見つからない場合に備え、暫定的な受け皿となる「承継銀行(ブリッジバンク)」を3月20日めどに設立することを決めた。ペイオフ直前に設立される承継銀行の役割を一問一答形式でまとめた。【木村旬】
――なぜ、この時期に設立されるの?
▼ペイオフの凍結解除は4月1日からで、3月末までに破たんした金融機関の預金は全額保護の対象だ。しかし、すでに破たんしているのに受け皿が内定していない金融機関が三つある。債務超過で預金を全額払い戻せない破たん金融機関は、受け皿機関を見つけないと預金保険機構に資金援助を申請できない仕組みになっており、今月中に受け皿を確保しないと預金は全額保護されなくなる。承継銀行は預金保護のためのとりあえずの受け皿というわけだ。
――仕組みは?
▼預金保険機構の子会社として設立される。銀行免許を取得し、破たん金融機関から引き継いだ預金の払い戻しや融資も行い、預金者などが受けるサービスは基本的に変わらない。破たん金融機関ごとに預金払い戻しなどを行う部門を設け、各部門の存続期限は破たんから2年以内(1年延長可)で、この間に最終的な受け皿も探す。
――実際に3月末までに使われるの?
▼金融庁は「可能性は低い」とみている。受け皿が未定の金融機関のうち、石川銀行は北陸銀行を軸に受け皿を最終調整している。永代信用組合(東京都)も複数の金融機関が入札中で、大分商銀信組は九州の信組に譲渡の方向となっているからだ。ただ、万一決まらない場合は預金者が混乱することも予想されるため、「安全網として事前に用意する」(金融庁幹部)のが狙いだ。
――4月以降は?
▼3月末まで受け皿に使われなくても、4月以降も存続する。ただ、ペイオフが実施されるため、預金の全額保護が目的ではなくなる。4月以降に破たんした金融機関は預金などを公平にカットするため裁判所の管理下に入る。ただ、受け皿が決まらないと、ペイオフ実施後でも最低限、保護される「元本1000万円とその利息」の早期払い戻しができないため、承継銀行が活用されることになる。
[毎日新聞3月6日] ( 2002-03-06-00:17 )