米大手銀行のJ.P.モルガン・チェースが、経営破たんしたエンロンとの契約による損失9億6500万ドル(約1300億円)の補償を保険会社11社に求めている訴訟の予備審理で、ニューヨーク連邦地裁判事は、即時支払いを求めるJ.P.モルガンの主張を退けた。
同地裁のラコフ判事は意見書で「保証証書の免責条項のいかなる点も、(エンロンとJ.P.モルガン・チェースの前身チェース・マンハッタン銀行が設立したオフショア法人マホニアが結んだ石油・天然ガス事業)契約が無効だとする原告側の主張を排除するものではない」と指摘した。
さらに同判事は、シティグループの保険子会社トラベラーズ・プロパティ・カジュアルティをはじめとする保険会社側は、問題の契約が「(虚偽の)産物」だとして原告の要求を退けるのに十分な証拠を提出したとの判断を示し、「これらの取引は融資隠し以外の何ものでもないと考えるに足る証拠があることから、原告の求める略式判決を下すことはできない」と断じた。
J.P.モルガンの広報担当者ゴールデン氏は、「保険会社の誠実さが問われるだろう」とコメントした。公判は12月2日に予定されている。
5日の同社株価は前日比1セント高の32.51ドルで取引を終えた。過去1年間では30%下落している。