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「金融再生最前線」〜これが“金融支援11社リスト”の全貌(PAXNET) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 3 月 05 日 21:33:53:

●リストの真の意味〜金融庁お墨付き救済企業群?

ダイエー<8263>に対する金融支援の大幅な上積みが検討されていた先月下旬、永田町では1枚のリストが話題を呼ぶ。具体的な企業の社名を挙げて「金融支援11社リスト」とされている。
名前が挙がっている企業は、藤和不動産<8834>、大京<8840>、ミサワホーム<1923>、日商岩井<8063>、フジタ<1806>、長谷工コーポレーション<1808>、住友建設<1823>、三井建設<1821>、オリエントコーポレーション<8585>(オリコ)、日本信販<8583>、そしてダイエーである。
いずれも過剰債務企業の代表格とされる。このリストがどこから出たのか、いまだに明確には分かっていない。しかし、金融庁の誰かが特別検査を通じて、主力行が金融支援する意向を示した企業をリストアップしたものを、どこかの政治家に情報として流し、その内容をパソコンで打ち直したものという見方が最有力だ。つまり、極めて信憑性の高いものだと言える。
すでにオリコを除く、すべての会社に対する金融支援や再建策の練り直しが報じられている。残すはオリコのみ。それだけに金融界では、オリコに対する金融支援や新再建策がいつ示されるかが、最大の話題になりつつある。しかし、このリストに載っているという事は、オリコは金融支援を受ける事ができる、つまり、経営破たんする事はまず無いと言うことになる。この企業群を見て「まだまだ足りないのではないか」と思った読者の方も多かろう。では、このリストから漏れている企業の命運はどうなるのか―。

●ついに動き出した淘汰と再編

そうこうしているうちにこのリストに載っていない中堅ゼネコンの「佐藤工業」が、今月初め、ついに経営破たんした。先月、金融庁に第一勧業銀行の杉田頭取が呼ばれ、佐藤工業を含めた「みずほフィナンシャルグループ」系列のゼネコンの命運を聞かれた事は、以前、このコーナーで書いた通りだ。その時から「お雛様破たん」は決まっていた。今後、この佐藤工業の破たんをきっかけに、みずほ系のゼネコンの再編と淘汰が一気に進むだろう。つまり、このリストがこの時期に流布された本当の意味は、“誰もが知りたい、今後の破たん候補企業を推し量ること”ができるようにしたと言ってもいい。
これには、官邸の策謀が大きく働いているのだという。政府の総合デフレ対策には、特別検査を踏まえ、問題企業について市場に評価される再建策の策定を求めている。
つまりこの方針に従って、救済される企業がリストアップされた11社。一方で、このリストに載っていない問題企業の淘汰を一気に加速しようという思惑があるわけだ。
佐藤工業はその第1号である。言葉は悪いが「生贄」と言っていいのかもしれない。

●極秘親書のリーク?

政府がデフレ対策をまとめた直後の2月28日。大手A紙が、夕刊でかねてより存在が噂されていた「極秘親書」をすっぱ抜いた。アメリカのブッシュ大統領が小泉総理大臣に宛てたもので、A紙はワシントン発の特派員電だった。これは明らかにアメリカ側のリークであるといわれる。米国は日本の不良債権処理の遅れに強い懸念を強く示している。それに不良債権処理は、市場を通じたオープンなものにする事と企業の不採算事業の整理と収益力の回復が大きな柱だとも報じている。
アメリカは日本政府のデフレ対策に失望し、この親書をあえて公にすることで、弱体化し始めた小泉内閣に対して明らかに外圧を与えようとしている。そして、アメリカは日本の不良債権処理を一気にスピードアップさせ、アメリカの国益にかなうように日本の市場を自国企業に開放させようとしている。力ずくであろうとなんであろうと関係はないようだ。

●内閣改造は6月か〜経済関係閣僚は事実上「更迭」?

アメリカからの強力なプレッシャーに象徴される「外圧」、内閣支持率の急落に見る支持基盤の弱体化。この政権の危機を打開するため、小泉総理大臣は6月にも内閣改造を行うという情報が、永田町に駆け回り始めた。狂牛病などの処理でミソをつけた農相や公的資金に消極的な姿勢を貫く金融担当相、それに有効な経済対策を打てず塩爺からも嫌われている経済財政担当相、この3閣僚の事実上の「更迭」ともとれる人事を行うという。
しかし、それもこれも金融危機をどう凌げるか―の一点にすべてはかかっている。
金融支援11社リストは、米大統領の極秘親書と響き合うように、不良債権の抜本処理の難しさを浮き彫りにしている。表面的な評価に流されているマーケットは、佐藤工業の破たんで3月危機が後退した、あるいは無くなったと受け止めるであろう。
ところが政府は、マーケットの甘い評価を受けて、また処理の先送りを繰り返す可能性が高い。デフレと不良債権は、ニワトリが最初か卵が最初かの議論に近い。デフレが進行するから、不良債権が増える。不良債権問題が加速するからデフレが深刻になる。どちらを先に解決すべきなのか。それとも、同時にどちらも退治できるのか。小泉政権は手をつけるべき糸口さえ、いまだに見出せていない。
○URL
・「金融再生最前線」〜連動する公的資金注入と商法改正<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200202/21/20020221152015_72.shtml

・首相に届けられた不良債権処理のリポート
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200202/20/20020220115511_50.shtml

・「金融再生最前線」〜二律背反に焦る金融庁、不良債権処理とデフレ危機
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200202/14/20020214103001_37.shtml

・「金融再生最前線」〜ゼネコン再編で復活した大護送船団行政
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/31/20020131100503_72.shtml

・「金融再生最前線」〜どうする生保とゼネコン“明治+安田の次”
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/24/20020124175013_02.shtml

・「金融再生最前線」〜それは総理の“ダイエーは潰すな”で始まった
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/17/20020117101513_29.shtml
[東山恵 2002/03/05 14:47]

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