財務省が14日発表した01年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は、前年比12・0%減の11兆633億円で、2年ぶりに縮小した。世界経済の低迷による輸出減で、貿易黒字額が前年比32・2%減の8兆5210億円となり、新統計基準の85年以降、最低だったことが影響した。一方、海外投資収益を示す所得収支は過去最高の8兆8258億円で、85年以降初めて貿易黒字額を上回った。実際のモノのやりとりによる黒字よりも、過去の投資から得る利益の方が大きい「成熟国」入りをうかがわせる結果となった。
輸出は前年比5・9%減の46兆5831億円で2年ぶりの減少。米国で需要が高まった自動車が4・2%増と好調だった半面、半導体等電子部品(20・3%減)やパソコンなどの事務用機器(8・8%減)と振るわず、世界的なIT(情報技術)不況の影響を受けた。輸入は前年比3・0%増の38兆621億円で2年連続増。中国などへの生産拠点移転のほか、前年比12・8%の円安で輸入価格が上昇したため。
所得収支は前年に比べ2兆6197億円も黒字が拡大した。7割の1兆8492億円を証券投資収益が占め、多くは「海外の中長期債の債券利子受け取りによるもの」(国際局)。海外子会社の業績が好調だったことも貢献した。
サービス収支は5兆3151億円の赤字で1814億円赤字幅を拡大。米同時多発テロの影響で出国者が減り、旅行部門の赤字が縮小したが、再保険料の支払いが拡大した。
01年12月の経常収支の黒字額は前年同月比42・0%増の9718億円で、4カ月連続で黒字幅を拡大した。貿易黒字は縮小したが、サービス収支の赤字幅が縮小し、所得収支の黒字が拡大したため。 【岩崎誠】
[毎日新聞2月14日] ( 2002-02-14-11:02 )