金融庁は5日、第2地方銀行の中部銀行(本店・静岡市)が02年3月期の自己資本比率の見込みを「不確かな前提に基づいて公表し誤解を与えた」として、同行に内部管理の徹底などを求める業務改善命令を出した。
中部銀は不良債権の追加処理などに伴い、01年9月中間期の自己資本比率が単体で3・05%、連結で2・63%と健全基準(4%)を割り込み、自己資本比率の当初見通しを今年1月に下方修正した。その際、中部銀は「増資計画があり、実行された場合、02年3月期の自己資本比率は8%を達成する見込み」などと表明。さらに新聞に「増資は基本合意した」との広告を出したが、増資計画はまとまらなかった。
金融庁は昨年末、特別検査で自己資本比率の低下を把握し、同銀に資本増強を促す早期是正措置を発動したが、今回は「重要な経営情報を十分な根拠がないまま開示した」として業務改善命令に踏み切った。
中部銀は「再発防止に向け、早急に対策を講じる」とのコメントを発表し、「別の増資計画を地元企業に要請していて、実行されると02年3月期の自己資本比率は5%程度になる」と説明している。【木村旬】