ブッシュ米大統領は5日までに、日本や欧州連合(EU)などの外国製鉄鋼製品に対し、米通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)を発動する方針を固めた。一両日中に発表の予定。
ワシントン・ポスト紙など米メディアが米政府高官の話として報じたところによると、セーフガードは大半の輸入製品に最高30%の関税を上乗せする内容。一部の製品については、一定の輸入量を超えた場合に高率関税を適用する「関税割当制度」を導入する方向で最終調整している。
共和党・ブッシュ政権が今年秋の議会中間選挙や2004年の大統領選を有利に戦うには、大きな集票力を持つ鉄鋼業界の支持が不可欠。大統領の判断にはこうした国内政治事情が強く反映されているものとみられ、輸出国側が米国の保護主義的措置に反発を示すのは必至だ。
北米自由貿易協定(NAFTA)加盟のカナダとメキシコ、さらにアルゼンチンやトルコなど一部の発展途上国の製品はセーフガード発動の対象から除外される見通し。
米国際貿易委員会は昨年、鉄鋼製品の輸入急増が米鉄鋼業界に重大な被害を与えていると認定。最高40%の関税上乗せや、輸入数量制限を16の製品に導入するよう勧告していた。(共同)