http://www.shugiin.go.jp/itdb_search.nsf/ITfoSearch?OpenForm&Seq=1
○渡辺(喜)委員
いずれにしても、これだけ大量の国債をさばかなきゃいかぬという御時世でございますから、御用金思想であっては絶対にいかぬのですね。したがって、物価連動債なんというのは、イギリス、スウェーデン、カナダ、オーストリア、ニュージーランドで、もう九〇年代に導入されておりまして、いずれの国でもインフレ率が目標範囲におさまった。つまり、物価連動債を出すことによって、この物価連動債と通常債とのスプレッドを計測すれば期待インフレ率の観測ができるようになる、したがってインフレターゲットも十分に可能になる、こういうたぐいの国債でございまして、なおかつ郵貯や簡保や日本銀行も大変ありがたい、こういうことであれば、私は、御用金思想を捨ててこれはきちんと出すという方向で検討をすべきであろうと思います。
こういうものは別に国会で法律を通さなくてもできるわけでございますから、大臣の腹一つでお決めいただいていい話でございますので、ぜひ御検討をいただきたいと思うのでございます。
もう時間が迫ってまいりましたので、最後にデノミについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
ミレニアムプロジェクトだから二千円札を出そう、こういう話なんでございますけれども、私は、ミレニアムプロジェクトというからには、国会を移転するとかそれくらいのことをやったらいいと思うのでございますが、経済の世界では、デノミネーション、ゼロを二つ取るということは、私は、今の日本の沈滞した旧勘定を新勘定に移行するというシンボリックな意味合いもあって、損失処理がきちんと終わったころ、ゼロを二つとって、円の国際化をやっていくというのは非常にいいことだろうと思うのですね。
中には、例えば二千万円持っているおばあちゃんが二十万円しかなくなってしまうではありませんか、こういう御心配をされる人もいるのでございますが、百円を一円と言うからいけないのであって、百円を一両と言えばいいわけでございまして、そうすれば、二千万円持っているおばあちゃんは、何と二十万両持っている大金持ちになるわけでございます。
もし将来、いつかインフレの時代が来るかもしれません。そういうときには、今から金準備をたくさん確保をしておいて、日本は非常に金準備の少ない国でございますから、今金価格はそれほど高くないわけであって、金準備を今の何倍かにふやして、いざインフレが来そうだというときには、千両小判とか万両大判とか、チャリンチャリンと大量発行をしていく。ちょんまげまで結う必要はないのでありますけれども、それぐらいのことを考えたらどうだということでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣
これは随分昔から支持論文がたくさんございますし、また最近、自由民主党の中でもそういうことを検討しようということになったと承知しております。
メリットはよくわかっておりますが、前から私が思っておりますことは、デノミをやると、どういうふうに振る舞えばもうかるとか、どういうふうにやると下手をすると損をするとかいう、すぐ損得論が、本なんかが直ちに出るようなことになりますと、それは大変に人心を騒がせるので、町名変更みたいなものですというような理解がまずできてほしいなということが一つあると思います。
それから、昨年途中から私が言い出しましたのは、昨年の暮れにいわゆる二〇〇〇年問題というのがございまして、コンピューターがどういうふうに動くかという大変に世論を呼び起こしまして、大したことがなくてようございましたが、コンピューターという時代にデノミを考えられたという方が、まだ余りいらっしゃらないようでありまして、例えば、今まででございましたら、円というものがあって、それが新しい円になる。旧円とか新円とかいって、最終的にはまた円になる。でございますが、円が円になるというその部分をコンピューターがちゃんと読み切れるかということを専門家が言っておられるわけでございます。それが二〇〇〇年問題よりははるかに難しい問題になるのではないか。ですから、渡辺委員は、それをお考えになって両と言われたのかもしれません。新しいデノミネーションになってしまえば、その問題はございませんが、同じ円でもって通そうということになりますと、非常に難しいのだということを聞かされておりますものですから、党の方にもその点もひとつ御検討くださいと申し上げたようなところでございます。