新生銀行(旧日本長期信用銀行)が会社更生法を申請した佐藤工業向け債権の買い取りを政府・預金保険機構に求める見通しとなった。100億―200億円とみられ、一部は国民負担になる公算が大きい。旧長銀の譲渡契約で債権の価値が2割以上目減りした場合、預保機構に帳簿価格で買い取りを求める契約による。新生銀は昨秋にも打診していたが預保機構が拒否していた。
旧長銀の譲渡契約に盛り込まれた瑕疵(かし)担保条項では(1)融資先企業が倒産したり債権放棄を要請するなど再建が想定通り進まない(2)貸倒引当金をのぞいた債権の価値が2割以上目減りした――の2点を満たせば、預保機構に帳簿価格で引き取りを請求できる。預保機構による買い取りは公的資金が原資となる。
関係筋によると、新生銀は昨夏、佐藤工業の経営再建が難しいと判断。瑕疵担保条項に基づく買い取りを預保機構に請求した。預保機構側は受け入れを拒否。交渉は事実上凍結されていた。佐藤工業の破たんが確定したことで、瑕疵担保条項は満たしやすくなる。預保機構と新生銀行側は現時点では「ノーコメント」としているが、年内に新生銀が正式に請求する公算が大きい。