4月1日のペイオフ凍結解除に備えて、積水ハウスは2日、取引金融機関の財務状況などを独自基準で100点満点で採点し、選別する“格付け”制度を導入する方針を明らかにした。現在、都銀から信金、信組まで全国百数十の金融機関と取引があるが、50点未満のところは原則打ち切るという内容。財務基盤が悪化した金融機関に企業から“三くだり半”を突き付ける時代がやってきた。
積水は併せて、3月末までに全定期預金を解約し、1000億円を国債などで運用する予定だ。
独自の“格付け”を行うのは「金融機関の開示情報や金融庁の検査結果をうのみにできないため」(幹部)。積水はすでに査定作業をスタートしているが、実際に採点結果をもとに取引の打ち切りを決めるのは、決済に使う当座預金の口座がペイオフ対象になる03年4月の予定だ。
査定は、各金融機関の開示情報に独自収集した情報を加味して行う。「本当の不良債権」(同)の残高や引当額などを推計し、12項目について0〜10点または0〜5点で採点する。合計点が50点を割った金融機関とは原則として取引しないが、営業面の効果が期待できれば続行する可能性もあるという。「合格」でも50〜60点の金融機関は「要注意先」と見なし、動向を注意深く見守る。査定は半期ごとに見直す。
同社は、「建設業の性質からもともと全国の地銀、信用金庫などとの取引が多かった。金融機関のリスクを判定するノウハウの蓄積がある」と自信を見せている。 【後藤逸郎】
[毎日新聞3月2日] ( 2002-03-02-15:01 )