【ワシントン逸見義行】
米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は27日の米下院金融サービス委員会公聴会で、エネルギー販売最大手、エンロンの倒産に関連して「米経済に深刻なマイナスの影響を与えないだろう」と述べた。そのうえで、「長期的には企業経営のあり方が変わるだろう」と指摘し、エンロン倒産が、企業会計システムの見直しや取締役の責任のあり方など、企業システムの変革につながるとの見方を示した。
同議長は、これまでも不適切な会計処理をした企業は株価が暴落するなど、市場から厳しい罰則を受けてきたことを指摘。さらに「米国ほど企業の会計システムが優れた国はない」と語り、現状の米国流システムに自信を示した。それでも、不正経理などの疑惑が浮上しているエンロンの倒産事件が起きたことに対しては「システムの悪いところを改善する必要がある。適切な診断をすることが最初のステップだ」として、事実関係の究明が不可欠との考えを強調した。
景気対策については、昨年実施した大規模な所得税減税を「非常に効果的だった」と高く評価。「(追加対策は)おそらく必要ないと思う」と述べ、先月の同委での証言で「決定的に重要な問題とは思わない」とした見解をさらに進め、不必要との認識を鮮明にした。同議長の発言は、減税を中心とした追加減税対策を求めてきたブッシュ政権には打撃を与え、当面、景気対策は議論の対象にならないことが事実上確定的になった。
[毎日新聞2月28日] ( 2002-02-28-12:08 )